キミ想い
「あたしにはわかってた。わかるに決まってる。あたしだって、蓮が好きなんだから」
「そうだよね……でも、譲れないんだ、私も」
譲ることはもう出来ない。
傷ついても、傷つけても、諦めらきれなかった想い。
「脅されたって、傷ついたっていい。辱められたってなんだって、それでももう、迷わない」
どんな事があっても、私は蓮が
蓮だけが
蓮だから
大好きなのだ。
「二度と、彼を想う気持ちを閉じ込めたりしない」
誓うように言葉にすると、野宮さんは唇を噛んで私を見ていた。
「……ムカつく。ホント、アンタのこと嫌い。蓮の心を掴んで離さないアンタなんて大嫌い」
吐き捨てるように言った野宮さん。
ふと、彼女は少しだけ肩を落とす。
「あたしは……蓮の心をあたしだけに向けたくて必死だった。だから、前に付き合ってた時、飽きた振りして別れ話なんてして気を引こうとしたけど……あっさり承諾されちゃって」
野宮さんが自嘲気味に笑う。
「知ってた? 蓮はね、別れた子とは二度と付き合わないんだよ」
どうしてか。
それは、簡単に諦めることができ、壊せる程度のものなら必要ないのだと、以前蓮が野宮さんに語ったらしい。