キミ想い
「ノロケのつもりはゼロだったんだけど」
「バカップルってのは無自覚だから困るんだよなー」
今度は付き合ってられないとばかりに溜め息を吐く。
──けれど。
「でもまあ、良かったな」
そう言って、微笑んでくれた。
「うん……ありがとう」
感謝の言葉を彼に届ける。
本当は、言葉じゃ足りないくらい、ハルには感謝していた。
ハルが支えてくれたから、ちょっとずつ顔を上げ、ゆっくりと一歩を踏み出すことが出来た。
ハルが真っ直ぐに想いを伝えてくれたから、私も伝える勇気を持てた。
ハルが背中を押してくれたから……
今、蓮の隣で笑う事が出来ている。
今があるのは、ハルがいてくれたからこそのものなのだ。
大学に合格したらバイトを始めるつもりなんだけど、初めてのお給料でハルに何か奢ってあげようかな。
そんなもので今までの感謝を返せるとは思っていないけど、そうしたいから。
なんて思っていた時。
机の上に置いてあった携帯が規則正しく振動を始めた。