キミ想い
ディスプレイには最近撮った私と蓮のプリクラが表示され、着信という文字が点滅している。
つまり、蓮からの着信を告げていた。
私は通話ボタンを押して携帯を耳に当て、蓮の声が聞こえるより先に問いかける。
「どうしたの?」
『雪原独り占め中』
「え?」
『校庭、真っ白で気持ちいいぞ』
言われて寒さを覚悟しベランダに出ると、ふわりふわりと舞い降る雪の中、積もった真っ白な校庭の中央に蓮が立っていた。
「風邪ひくよ?」
『なら、今すぐこっちに来てくれるか。で、暖めてくれればオッケーだろ?』
おいでおいでと手招きする蓮。
「もう。少し待ってて」
仕方ないと思いつつ、私は通話を切ると教室に戻りコートを羽織った。
気付いたハルが目を少しだけ丸くする。
「どうした?」
「ちょっと蓮のとこ行ってくる」
なんでコートなんだという質問が聞こえたけど、私は苦笑いだけ残して教室を出た。