キミ想い


ディスプレイには最近撮った私と蓮のプリクラが表示され、着信という文字が点滅している。

つまり、蓮からの着信を告げていた。

私は通話ボタンを押して携帯を耳に当て、蓮の声が聞こえるより先に問いかける。


「どうしたの?」

『雪原独り占め中』

「え?」

『校庭、真っ白で気持ちいいぞ』


言われて寒さを覚悟しベランダに出ると、ふわりふわりと舞い降る雪の中、積もった真っ白な校庭の中央に蓮が立っていた。


「風邪ひくよ?」

『なら、今すぐこっちに来てくれるか。で、暖めてくれればオッケーだろ?』


おいでおいでと手招きする蓮。


「もう。少し待ってて」


仕方ないと思いつつ、私は通話を切ると教室に戻りコートを羽織った。

気付いたハルが目を少しだけ丸くする。


「どうした?」

「ちょっと蓮のとこ行ってくる」


なんでコートなんだという質問が聞こえたけど、私は苦笑いだけ残して教室を出た。


< 397 / 404 >

この作品をシェア

pagetop