キミ想い
「そういや、前に雪の結晶が見たいって言ってただろ」
「うん、言った」
蓮、覚えててくれたんだ。
去年のホワイトデーに、雪の果ての中、公園で交わした何気ない話題。
見てみたいと、綺麗だろうなと私が話したのを、蓮は今でも覚えててくれた。
それは、私との時間を大切にしてくれているみたいで、嬉しいな、なんて思っていたら。
「ちょっと見てみるか」
蓮は、私の背中に回していた手をほどくと、一歩下がって雪の舞う空に向かい右手を伸ばした。
そして──
「つかまえた」
彼の右手が何かを掴んだように閉じられる。
「え?」
つかまえたって……雪?
「ほら」
そう言って、私に差し出された右手。
ゆっくりと開かれた手のひらの上には……
銀色に輝く
雪の結晶がモチーフとなっている指輪。