キミ想い
「そっか……ありがと」
真相は青木君しか知らない。
だからこれは可能性の話しだ。
今はとにかくかりんの気持ちを優先しながら──
「まさか、片桐の話しか?」
「え?」
思考を遮る佐伯の言葉に彼を見ると、マジマジとした目で見られていた。
「違うよ。私じゃない」
近いものはあるけど。
心の中で付け加えて、私は隠すように笑みを浮かべた。
すると佐伯は僅かに肩の力を抜いた様子を見せて言った。
「なら良かった」
「……何で?」
「んー…何となくな。何となく、片桐が泣くのは見たくない」
佐伯の言葉に一瞬ドキンとなる心臓。