キミ想い
「なずな―! 朝ご飯出来たわよー」
階下からお母さんの声。
私は「はーい」と返事をすると、窓を閉めて部屋を出て階段を駆け下りた。
リビングにはいつもと変わらない見慣れた光景。
キッチンで忙しそうにしているお母さんと、椅子に座ってコーヒーを飲むお父さん。
ランドセルにふでばこをねじ込んでいる11歳の妹は、ポニーテールに結んだ髪に、今日もお気に入りのでっかいリボンを装着していた。
「今日も無駄にでかいね、そのリボン」
「無駄じゃないもーん。ミニーちゃんみたいで可愛いって友達から人気なんだから」
唇を尖らせた妹に「はいはい」と返し、お父さんの向かい側、私の指定席に座る。
そして、朝食と朝の団らんを済ませると。
「いってきまーす」
挨拶を残して、家を出た。