キミ想い


2人はベンチに座り、顔を向き合わせて何か深刻そうにしている。

かりんの用事は右京と会うからだったって事?


ああ、嫌だ。

心がすっごく落ち着かない。

ヤキモチなのかもしれないけど……それだけじゃない。

嫌な予感みたいのが、する。


心臓の上あたりでブラウスをギュっと握った時──


「どうした、そんなとこで」


背後から声がして、我に返るように振り向くとそこには佐伯の姿。

佐伯は制服のズボンに手を突っ込み、私をいつもの調子で見ていた。

けど、私の心が顔に出てたのか、佐伯の目つきが僅かに真剣なものに変わる。


「片桐?」

「……あ、えっと」


何でもない。

そう言ってこの場から離れるつもりでいた。

でも、それよりも早く佐伯が動く。


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