キミ想い
STORY06 【その優しさが】
目撃から数日。
私は午後の授業を上の空で聞いていた。
聞いていた……というより、頭の中では違う事を考えてボーッと教科書に視線を落としていた。
脳内を支配しているのは、ただひとつ。
右京とかりんのこと。
あの時感じた嫌な予感が当たってしまった。
右京は……あの日から私を誘わなくなった。
学校で会えば話しは普通にする。
けど、以前のように私に触れる事はなくなった。
右京の瞳は、以前にも増して……
かりんを追うようになっていた。
そんな彼の姿を見る度、私の心は焼け付くように痛み、醜くただれていく。