キミ想い

「じゃ、またな」

「おーう」


桃原の声が背後から聞こえて、私はいつか桃原に謝罪しなきゃと思いつつ、佐伯に人気のない踊り場に連れて来られて２人で窓際に適当に腰を下ろした。


「で、何があった」

「……かりんが、右京の事が気になるって……言ってた」


思い出して、また涙がじんわりと瞳を濡らす。

こうなって改めて気付くのは、私が本当に右京を好きだという事。


「気になるってのは、もう始まってるようなもんか」


静かな、けれど遠慮のない真実を告げる佐伯の声。


「片桐はどうしたいんだ」

「……元々、右京の気持ちは私に向いてないから」


だから私がどうこう言えるもんじゃない。

続けて言うと、佐伯は小さな溜め息をついた。


「俺ならもっとうまくやるが、お前には無理だろうしな」

「……うまくって？」