キミ想い
STORY08 【押し殺した声】
自室のベッドを背もたれに座る私は、ただ窓の外に広がる水色の空を眺めていた。
何をするわけでもなく、呼吸と瞬きのみを繰り返していると、声をかけられる。
「片桐、俺も背もたれ欲しいから、隣貸してくれ」
テーブルを挟んで私の向かい側に座り、雑誌を見ていた私服姿の佐伯。
「……いいよ」
答えると、佐伯はクッションを手にし私の隣に腰を下ろすとあぐらをかいた。
そうして、私と同じようにベッドを背もたれにして。
──パラリ、パラリ。
読んでいた雑誌にまた視線を落とし……たかと思えば、チラリと視線を私によこす。
「気晴らしにどっか出るか?」
「今日はいいや」
断ると、佐伯は「そうか」と短く答えて。
「じゃあ、まったり続行だな」
言って、軽く私の頭を撫でてくれた。