キミ想い
STORY09 【雨音を聴きながら】
「なんでこんな雨の中、しかももう12月なのに……屋上なんだ」
翌日の五時間目。
私と佐伯は授業をさぼって屋上に来ていた。
結構強めな雨が降ってたし、そのうえ冬の始まりの寒さもあったけど、それでも私は屋上が良かった。
見晴らしのいい場所が良かったのと、外の空気の方が気が晴れるような感じがして。
だけど佐伯は不服だったみたいで愚痴を零したのだ。
「いいじゃん。雨の屋上もいいもんでしょ」
秋明高校にある屋上の一角には、誰もがくつろげる憩いのスペースがある。
園芸部が手入れしている緑の庭園もあり、ちょっとした屋根もついてる為、雨宿りも完璧だ。