キミ想い
「お邪魔してます」
「どこか行くの?」
お母さんの視線が私と蓮を交互に見る。
私は蓮に靴を履くように促してから答えた。
「映画見て来る。休みが終わる前に満喫しようって事になって」
「あらそう。もうすぐ学校だもんねぇ。気をつけてね」
「はーい」
「蓮君もね」
「はい、お邪魔しました」
蓮がお辞儀すると、妹も「またねー」と両手を振る。
その横で、にこやかに手を振るお母さん。
私は二人にいってきますと告げて家を出た。
「相変わらず明るい家族だな」
「蓮だからだよ。特に、うちのお母さんはイケメンに弱いからね」
右京の事もそうだった。
綺麗な男の子だってウキウキして右京に挨拶してたし。
あんな男の子がなずなの彼氏になってくれると嬉しい、なんて口にしてたっけ。
そんな未来は、今のトコ来てないけど。
……やだな、まだ期待してるような考え方だった。