キミ想い
私は大きく息を吸って吐き出すと、隣りを歩く蓮を見た。
「ね、何観ようか?」
「個人的にはミステリーが好きだけど、モヤモヤして終わるパターンが多いからな……」
「じゃあアクションじゃない? スカッとして終わるだろうし」
「だな。じゃあそれ系で」
「リョーカイ」
こんなテンポでいつも会話して、蓮は面倒そうな態度なんて見せずに、私のそばにいてくれてる。
私が誘わなくても連絡をくれて、暇だからと会ってくれてた。
そんな蓮のおかげで、最近は右京の事を考えても胸が痛まなくなってきてる。
「ねぇ、蓮」
「んー」
「今日は私がおごるよ、映画」
「なんだ、突然」
お礼だよ、とだけ伝えると、蓮は全てわかってくれたようで「じゃ、お言葉に甘えて」と少し笑んでくれた──‥