そういって、微笑んだ潤はとても優しい顔をしていた。なんだか、涙が出そうになった。
それから、ずっと潤と話していた。
潤と話すのはすごく楽しかったし、素直な自分でいられた。自然に笑う事もできた。
時計を見るともう、7時を回っていた。もう、帰らなきゃ…。そして、男の家に行かなきゃ…。
「あ、もう帰るね…。今日は…、ありがと。」
私は、そういって帰ろうとした。
「家ないんでしょ?どこに行くのよ。」
聞かれて、少し困ってしまった。売りをやっていることを知られたくなかった。嘘をつけばいい話なのだけど…。なんだか、言葉がなにも出なかった。
「泊まってけば?」
潤がそう言ったときすごく嬉しかった。嬉しかったけど…。私なんかが居ていいのだろうか…。潤にそう言われても何もかえすことができなかった。
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