事実

「蓮華。ちょっと来なさい。」
学校から帰ってくると、めずらしくお父さんがいた。
お母さんもいる。
お父さんに呼ばれて、何も思わず、お父さんの前に座った。
私が、座ると台所にいたお母さんもこちらにやってきて、お父さんの隣に座った。
「何?」
私は、何の気なしに聞いた。お父さんは、ずっと黙ったままで、お母さんは私と目をあわさないようにしている。
そのまま、沈黙が数分続いた。
私は、訳が分からずただ、ただ黙って二人の方を見ていた。
ただ、いい話ではないとは思った。異様な空気と緊張感が、伝わってきたからだ。
何分たっただろうか、私がもう一度
「何?なにか、話?なんか、あったの?」
と聞くと、お母さんがいきなり涙を流し始めた。
そして、お父さんが重い口を開き、下を向いたまま話し出した。
「あの…な…。実は…。お前は…父さんの子じゃないんだ…。」
いきなりのお父さんの言葉に、わけが分からなかった。
「え…?なに言ってんの?」
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