ずっと、君を。
正反対
S aid : 麗
「麗ー!」
今はもう聞きなれた声で呼ばれる。
はーい、と私なりには大きめの
声で返事をする。
次の教科は移動教室のため
教科書と筆箱を持って
振り返ろうとした、その時。
「ひゃ、わ」
「うお!」
私よりも大きい何かがぶつかってきて
思わず倒れ込んでしまった。
「あ、すみません..。」
こんなの慣れてる。
どうせ無理とぶつかってきたに
決まってる。 そして笑いながら
立ち去っていくんだ。
軽く息を吐き出しながら
顔を上げると..
「...え?」
目の前には私ではない、
そして美希ちゃんでもない。
骨ばった、大きな手のひらが
そこには あった。
そのまま目線を手首、腕。
徐々に上げていくと....
「わり、大丈夫だったか?」
ブレザーにネクタイ、
完璧な男の子が手を差し出して
いてくれた。