二度目の初恋をキミと
第一章
彼と私と日常と
「泉崎くーーーーっん!」
廊下にいる人の視線が私に突き刺さる。
それでもめげずに私は彼の名前を呼ぶ。
「せ、ん、ざ、き、くんっ! なんで無視するのーっ?」
私、三上葉月。16歳。高校2年生。
今日も元気にストーカー中です。
「ここにいたんですね、泉崎君。今日こそ逃がしませんよ!」
「……げっ」
「あっ!」
逃げられないように息をひそめて、泉崎君の背後に忍び寄る。
彼が眼前に迫ったところで、捕まえようとしたけれど、うまく逃げられてしまった。
悔しいけれど、そうも言っていられない。
今日こそ私の作ったお弁当を受け取ってもらわねばっ!
体勢を立て直した私は再び全速力で走りだした。