二度目の初恋をキミと
「泉崎君を追いかけるのもいいですが、ほどほどにしてくださいね」
「はーーーい!」
元気よく手を挙げて席に戻る私に、絶対わかってないとつぶやくきぃくん。
……聞こえてるからね。
「では、授業を始めます。教科書三十二ページの――――」
きぃくんの数学の授業が始まったので、私は寝る態勢に入る。
確かに、きぃくんの授業は面白いけど、数学はこう見えても得意科目だ。
最初にレクチャーを受ければ大体の問題は解ける。
きぃくんもそれをわかっているので、あえて起こそうとしない。
いつも困り顔で私を見ているだけだ。
結局、ウトウトしていたら五十分の授業は終了した。
午後一番の授業は何だかぽーっとする。
美空ちゃんは「アンタがうるさくなくていいわ」なんて言うけど、これは単にご飯を食べたから眠くなったんじゃない。
この時間帯はクラスが離れている泉崎君に逢えないからだ。
それ以外のことは私にとってはどうでもいいこと。
私は泉崎君中心で生きている。