センチメンタル*宅配便
猫先輩と私
大学構内にあるカフェテラスの窓から外を見ると、そこには日本庭園風の庭がある。
結構な大きさの池があって、鯉や亀などの生物も生息している。
池の端から端に朱色の橋が掛かり、池を囲うように無造作に置かれた岩とその後ろには芝が広がっていた。
池の周りに紅葉や桜など季節毎に私たちの目を楽しませてくれる木々が植わっていて、奥の方には金木犀の垣根が連なっている。
私はカフェオレの缶を持って、金木犀の垣根の奥に進む。
10月になって、深緑色の葉っぱの垣根には小さなオレンジ色の小さい花が咲き始めた。
甘くて爽やかな芳香が鼻腔をくすぐる。
金木犀の垣根の奥は小さな芝生の丘が出来ていて、そこは私の秘密の場所だった。
カフェテリアからも完全に死角になるし、池の周りを散歩する学生もまさか垣根の奥に人がいるなんて思わないだろう。
偶然見つけた私の秘密基地。
お昼ごはんの後で、ここでお茶を飲みながら本を読む。
午後の授業へ向かう気分転換にもなるし、まったりとここで過ごす時間が好きだった。
カバンを投げ出し、丘の上に座り込んだ。
金木犀の香りを思い切り吸い込んで読みかけの文庫を手にした。
カフェオレの缶を開け、一口飲む。
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