センチメンタル*宅配便
小さな感動を覚え、「私の秘密基地」と勝手に命名し、午後の読書タイムをこの場所で過ごしていた。
突然の訪問者に驚く。
ふわふわパーマのライトブラウンの髪が太陽の日差しを浴びて光って見えた。
ちょっと釣り目にイタズラっぽそうに笑う口元からは2つの八重歯が見える。
ひょろりと背の高い先輩が立っていた。
「あなたの秘密の場所なんですか?」
「そうだよ。暖かくって絶好のお昼寝スポットだ」
そう言いながら先輩は、両手を細身のパンツのポケットに入れ、猫背気味に丘を上り私の隣にすとんと腰を下ろした。
その仕草と、顔立ちと、ライトブラウンの髪にモノトーンの服装を見て、ミケ猫みたいと思った。
それが私の先輩に対する第一印象だった。
「こんにちは、先輩。今、来たんですか?」
「そぅ、俺の分の飲み物はないの?」
先輩は定位置である私の隣に腰を下ろすと、私が手元の缶を覗きながら訊ねた。
「ないです。昨日は先輩が来ると思って、先輩の分の飲み物も用意してたんですけどね」
気まぐれな先輩は昨日は秘密基地に現れなかった。