センチメンタル*宅配便


「だって、馬場くん女子に人気あるし・・・」

 
「知らねぇし、大体、千秋って嘘つきでしかも忘れっぽいのな?」

 
「はぁ?私がいつシバケンに嘘付いたって言うの?」

 
「嘘つき、嘘つき、嘘つき」とシバケンはまくし立てた。


茶化すような素振りに頭に来て、「もぅいい」とそっぽを向いたまま、1週間、シバケンを無視した。


今、振り返ってみたら、あれが最初の喧嘩だったかも。


結局、私は馬場くんに告白出来ないまま、馬場くんに彼女が出来たんだよね。


憧れていた人に彼女が出来たのはすごくショックだったけれど、すぐにだったらいいやって諦めてた。


私の馬場くんに対する思いはその程度だった。

 

「千秋はさ、大事なこと忘れてるんだよ!」

 
突然、耳元でシバケンの声がした。


中学2年生のシバケンの声なのだろうか?

 
「大事なことって何?教えてよ!」

 
私は訊き返す。

 
「大事なことって大事なことだよ。俺はずっと覚えてる」

 
それじゃあ答えになってないよ。


大事なことって何なの?繰り返し訊ねたけれど、もぅシバケンの声は返って来なかった。


< 40 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop