センチメンタル*宅配便
「だって、馬場くん女子に人気あるし・・・」
「知らねぇし、大体、千秋って嘘つきでしかも忘れっぽいのな?」
「はぁ?私がいつシバケンに嘘付いたって言うの?」
「嘘つき、嘘つき、嘘つき」とシバケンはまくし立てた。
茶化すような素振りに頭に来て、「もぅいい」とそっぽを向いたまま、1週間、シバケンを無視した。
今、振り返ってみたら、あれが最初の喧嘩だったかも。
結局、私は馬場くんに告白出来ないまま、馬場くんに彼女が出来たんだよね。
憧れていた人に彼女が出来たのはすごくショックだったけれど、すぐにだったらいいやって諦めてた。
私の馬場くんに対する思いはその程度だった。
「千秋はさ、大事なこと忘れてるんだよ!」
突然、耳元でシバケンの声がした。
中学2年生のシバケンの声なのだろうか?
「大事なことって何?教えてよ!」
私は訊き返す。
「大事なことって大事なことだよ。俺はずっと覚えてる」
それじゃあ答えになってないよ。
大事なことって何なの?繰り返し訊ねたけれど、もぅシバケンの声は返って来なかった。