センチメンタル*宅配便
「キャン キャン!」
外から元気なカウルの声がして目が覚めた。
いつの間にか眠ってしまっていたみたいだ。
時間を確認すると朝の7時半を回った所だった。
頭がぼぅっとする。
睡眠時間は十分取ったのに、体はダルかった。
結局、手をつけずじまいのおにぎりの皿を持って階段を降りた。
リビングの扉を開けるとお母さんがキッチンに立っていた。
お味噌汁の匂いがする。
「ごめん、食べれなかった」とおにぎりの皿をお母さんに渡すと、お母さんはため息を吐いて、「朝ごはんはきちんと食べなさい」とだけ返した。
「カウル来てるの?」と訊ねると、
「たまに散歩に連れて行けってリードくわえて、家に来るのよ」とお母さんは教えてくれた。
リビングでテレビを見ていたお父さんが庭へと続くガラス戸を開け、カウルと戯れていた。
「柴田さん、忙しくてカウルにまで構ってられないものね。朝ごはんの前にお父さんに散歩に連れて行ってもらおうかしら?」
「だったら、私、行って来ようか?近所を周ってくればいいんだよね?気分転換もしたいし・・・」
「千秋が行ってくれるなら、お願いしようかしら?」とお母さん朝ごはんの仕度に忙しなく動きながら言う。