センチメンタル*宅配便
「ケータイ持っていって。朝ごはんの準備が出来たら、メールするわ」お母さんの声を背中に聞いて、私は部屋に戻った。
動きやすい格好に着替えて、お母さんからカウルのお散歩セットを手渡され、カウルの首輪にリードを付けると、朝の街へと繰り出した。
カウルは毎朝のお散歩コースを覚えているのか、家を出ると左に向かって走り出した。
くるんと尾が上向きに丸まっているのは機嫌がいい証拠なんだよね?
ぷりぷりと左右に揺れるお尻がかわいい。
カウルの先導で、私は住宅街を進んだ。
右手に公園が見えて来た。
滑り台とブランコのみが設置された住宅地の中の小さな公園だ。
21歳の誕生日にシバケンに夜にこの公園に呼び出されたっけ。
シバケンはサプライズに花火を用意していた。
といっても、打ち上げ花火ではなく、地面に置いて着火すると噴水みたいに火花が上がる花火だ。
公園の入り口に立った瞬間、シャーと音を立てて赤・青・緑の炎のシャワーが道を作り、花火の道の終着点である滑り台の上でシバケンがケーキを持っていて、バースディソングを歌ってくれた。
後で、警察の人にめちゃめちゃ怒られたけれど、シバケンが私に内緒で準備をしてくれたのが嬉しかった。
あの時も、「好き」の一言が言えなかった。