センチメンタル*宅配便
「けんちゃーん」
「けんちゃんってば、なにしてるの?」
あれは・・・幼稚園の頃の私?
水色の制服を着て、黄色い帽子をかぶった私が横切った。
私が向かう先にはしゃがみ込み、こちらに背中を向けながら、一生懸命木の枝で、土をほじくっている男の子がいる。
あれは、シバケン?
「たいむかぷせるをつくるんだ」
「たいむかぷせる?」
「ここにおとなになったおれへのてがみをかくの。そんで、おとなになったらそのてがみをよむの」
「いいなぁ。ちあきもやりたい」
「えぇ~」
シバケンは眉間に皺を寄せながらも「しかたないな~」と立ち上がった。
両手にお菓子の缶を持って。
「ねぇ、ちあきがおとなになったけんちゃんにてがみをかくから、けんちゃんはおとなになったちあきにてがみをかいてよ」
そう提案したのは私だ。
「いいよ」とシバケンは頷いた。
それから、2人して教室に戻り、それぞれバラバラに将来に宛てた手紙をかいた。