センチメンタル*宅配便
2つの手紙をキレイに折り畳んで、再び缶に仕舞おうとして、手紙がもう1通あるのに気付いた。
缶の中のは2通の手紙と当時お互い大切にしていた宝物をそれぞれいれた記憶があった。
シバケンは戦隊戦士オレンジブロッサムのレッドのフィギュア、私はリボンのついたカチューシャ。
それ以外は何も入れてなかったはずだ。
こちらも2通の手紙と同様に風化し、茶ばんでいた。
ノートの切れ端のような、ボロボロの紙を開く。
(千あきへ 千あきはかわいいから おれのおよめさんにしてあげてもいいよ しば田けん 7さい)
ヘタな字でしかも鉛筆で、それはシバケンからの手紙だった。
大人になる前に掘り起こして、手紙を足してたんだ・・・約束したのに、破って・・・しかも上から目線だし・・・ふっと笑いが込み上げて来た。
再びケータイ音が鳴り、私はメールを開く。
シバケンからだった。
そのメールを読んだ瞬間、私の目からぼろぼろと大粒の涙が流れ出した。
嗚咽が漏れ、ひゃくり上げながら、私は地面につっ伏した。
傍らにいたカウルがくぅーんと心配そうな声を出し、私の指先をペロペロと舐めた。
思わずカウルを抱きしめ、柔らかい毛に顔を埋めた。
温かい。