センチメンタル*宅配便
駅前の商店街らしき通りは閑散としていて、もの寂しかった。
すれ違う人も少ない。
トランクを持っている旅人らしき私の姿を訝しげに眺めるお婆さんがいるたばこ屋の前を通り過ぎて、廃れたビジネスホテルにチェックインした。
街を散策しながら商店街の中にある食堂で夕飯を済ませ、波の音に引き寄せられるように、夜の海にやって来た。
誰もいない海の前に1人佇み、星空を見上げる。
真上を見上げるとWの形に繋がる星を見つけた。
確かあれはカシオペア座。
ほぅと息を吐くと白い靄が冷たい夜の空に消えて行った。
何か温かい飲み物が欲しくなり、着ていたジャケットのポケットに両手を
突っ込む。
確か、通りを渡った所に自動販売機があった。
振り返り、階段を上ろうと手すりに手をかけた所で、上から視線を感じ、顔を上げた。
男の子?
道路を隔てるガードレールに15、6歳くらいの少年が腰かけていた。
いつの間にそこにいたんだろう?人の気配に気付かなかった。
車の往来すらない、静寂の中にその少年はじっと私を見つめていた。
不思議な少年だった。
彼は厚手のパーカーを着、フードをかぶっていた。