センチメンタル*宅配便
軽装で手ぶらだったし、ぶらっと夜の散歩にでも出て来たようだった。
人気のない場所でこうやって巡り合ったのも何かの縁だと、「いいよ、買ってあげる。どれがいいの?」と振り向いた。
暗闇の中に煌々と人工的な光を発する自動販売機が余程眩しいのか、彼は眉間に皺を寄せて、顔を顰めていた。
これと小さめのお茶のペットボトルを指差す。
彼に出て来た飲み物を渡すと彼は笑顔になった。
帰って来た道を戻り、再び、砂浜へと続く階段を降りた。
「ここには旅行できたの?」
「・・・うん、からっぽになりたくて、何もない所を選んだの」
人懐っこい彼に私は戸惑いながら答える。
へぇと彼は相槌を打ち、砂浜に腰を下ろした。
「ここは本当に何もないよ」
「うん、そうだね」
温かいお茶を飲みながら、私たちは暫らく無口になった。
お互いの吐く白い息だけが霞んで消えていく。
「今から5日くらい前かな。ジャコビニ流星群を見たんだ」
少年は突然、口を開いた。
「ジャコビニ流星郡?」