センチメンタル*宅配便
「りゅう座がある辺りに見える流星郡だよ」
少年は北の空を指差した。
正直、どれが少年の言うりゅう座なのか解らなかったけれど、私はそうなんだと頷いた。
「流れ星に願い事をしたんだ」
そう言って少年は微笑み、お茶のペットボトルを砂浜に置き、立ち上がった。
砂浜に膝を抱えて座る私の前に立つと、
「お姉さんと出会った記念にボクの秘密を教えてあげる」
ほのかな月明かりを背に浴びて、少年のルビーのような赤い瞳が私を覗き込んだ。
少年はすぅと息を吸うと瞳を閉じた。
胸元の辺りで両手を合わせ、口笛を吹く。
波の音に消されてしまうようなか細い口笛だったけれど、音色が美しいと思った。
すると、不思議なことが起きた。
少年が合わせた両手から碧色の光が漏れている。
びっくりして光に注目していると、光はますます強みを増し、彼はその光を解き放つ
ようにゆっくりと合わせた両手を開いた。
バサバサバサ
彼が両手を開いたのと同時に、白い鳩が私に目掛けて飛んで来た。
羽音に驚き、後ろに仰け反る。
白い鳩は彼と同じ赤い眼をしていた。