センチメンタル*宅配便


ぶつかると思った所で、鳩は高度を上げ、そのまま夜空に消えて行った。


いつの間にか碧色の光も消えていた。

 
月明かりと波の音が辺りを優しく包み込んだ。

 
「何、今の?」

 
「地球の言葉だと鳩だよ」

 
「鳩は知ってるってば、さっきの鳩はどうやって出したの?そしてどこに消えたの?」

 
マジックのタネ証しを知りたくて、少年に質問する。


少年はにこりと笑うと、

 
「鳩はここにいたんだよ」

 
パーカーの胸元に右手を突っ込むと、中からペンダントを取り出した。


青と碧の交じった不思議な色をしていた。


オパールだろうか?

 
「この中は窮屈だから、たまにああやって外に出して上げるのさ。夜中飛び回ったら、満足するのかまたここに戻って来る」

 
そう言って、少年はペンダントを指差した。

 
「このペンダントの中に帰ってくるの?」

 
・・・この子、何言ってるんだろう?と率直な疑問が湧く。


「そうだよ」と少年は屈託のない笑顔を見せた。


「ボクの星ではクルックポーっていうのさ」

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