センチメンタル*宅配便
彼の住む星では鳩は神の化身だと崇められており、子供が生まれた時に一羽ずつ、自分の守り神として、鳩を与えられるのだという。
鳩は普段、ペンダントの中に封印されており、呪文を唱えた時にその姿を現すのだそうだ。
「じゃあ、君は人間じゃないの?」
「人間だよ。地球人じゃないだけさ。クルックポー人だ」
自信満々に言い切る彼に思わず苦笑いを浮かべる。
いつの間にか、地平線の辺りに白っぽくなって来た。
もうすぐ夜が明けるんだ。
彼は目を細めてじっと地平線を見つめているとすくっと立ち上がった。
「時間だ。もう、帰らなきゃ」
おしりについた砂を払い、階段を駆け上る。
彼の慌てた様子に私も思わず腰を上げた。
彼は階段の途中で振り返ると、
「今日の夜もここに来る?」と訊ねた。
白うさぎのような真っ赤な瞳が私を見る。
うんと頷いていた。
「やった!約束ね・・・それと、ボクが地球外生命体だって、他の人にはナイショだよ」
右手を口元に添えて、小声で付け足した。
じゃあと片手を挙げて、彼は夜と朝の交じったパープルの空の下、去って行った。