センチメンタル*宅配便


朝方、ホテルの部屋に戻った私はユニットバスに熱めのお湯をはり、ゆっくりとお風呂に浸かった。


体が温まるとベッドに横になり、昼過ぎまで眠った。

 
遅めの昼ご飯を食べるために街へと繰り出した。


昨日、ここに着いた時の印象と差ほど変わりなく、街は静かで寂しかった。


クラシックのかかる昔ながらの喫茶店でコーヒーとピザトーストを頼んだ。


美味しくもないし不味くもない、まさにB級の味だったけれど、なぜか居心地は良かった。


蝶ネクタイに白シャツ姿のマスターは私の注文を出し終わるとカウンターに座り、競馬新聞を開いた。


ちょびヒゲを生やし、愛想の欠片もない。


客に対して無関心な態度が私には有り難かった。


レトロな店内を見渡す。


アンティークの机と椅子はかなりの年代ものだ。


窓はステンドガラスで、お客さんは私の他にお爺さんが1人。


コーヒーを飲まずに固まっているので、大丈夫かな?と思ったら、転寝をしていた。


ここはゆっくりと時間が流れている。

 
トーストを齧りながら、普段はあまり使っていないケータイの電源を入れ、ネットに繋ぐ。


 

先天性白皮症、もしく色素欠乏症。


先天的にメラニンが欠乏する遺伝子疾患。


俗に言う「アルビノ」


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