センチメンタル*宅配便


「この辺にチップが埋め込まれているんだ。地球だけじゃない、どの星に行ってもボクはその星の言葉を話せるよ。クルックポーの科学技術は他の星と比べられない位に進歩してるんだ」

 
悪びれる様子もなく、私の顔を覗く。

 
 

「ところで君って名前は何て言うの?」

 
「名前はないよ」

 
「名前がないんじゃ、私は君のことを何て呼べばいいの?」

 
「君でいいよ。僕はお姉さんって呼ぶから」

 
にっこりと笑われると拍子抜けしてしまう。

 
「君って何歳なの?」

 
「地球の年齢だと16歳くらいかな・・・本当は126歳。クルックポー人は長生きなんだ」


秘密を打ち明けるように彼は囁いた。


16歳か・・・10歳も年下だ。


歳の割りには少し大人びて見えるのは彼がクルックポー人だからだろうか?


そんな事を思っている自分に苦笑する。

 
「ボクさ、お姉さんにお願いがあるんだけれど・・・」


彼は少し上目使いに私を見つめる。


「何?」と訊ねると、

 
「今度の満月の夜に、ボクはここを離れないといけないんだ。ボクの星に帰るんだ。それまでさ、ボクの話相手になってよ。この場所に舞い降りて、今まで1人で過ごして来たけど、やっぱりどこかで人恋しかったみたいなんだ。お姉さんとお話するのがすごく楽しいんだよ」


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