センチメンタル*宅配便


「ねぇ、いい?」と彼が首を傾げると彼のおでこにかかった銀色の前髪がさらっと揺れた。

 
「次の満月っていつなの?」

 
「今度の土曜日、今日から数えると7日後だよ」

 
1週間か・・・1区切りには丁度いい期間かもしれなかった。


彼がここを去ったら私も旅立とう。


それまで、私もこの不思議な少年の話を聞きたかった。


「いいよ」と返事をすると、彼は「やった!」と瞳を輝かせた。


ルビーのようでキレイだなと思った。

 
地平線がぼんやりと白く輝いて来た頃、私たちは別れた。


 

空には半月がぽっかりと浮かんでいた。

 
「お姉さんはさ、海が好きなの?」

 
隣に座る君が私に訊ねる。

 
「どちらかといえば好きな方かな・・・波の音を聞いてると落ち着くよね。クルックポーには海はある?」

 
「あるよ」


君の生まれたクルックポーという星は表面が水で覆われているのだという。


地球よりもだいぶ小さいその惑星は表面が1つの大きな海になっているのだ。


クルックポー人は水の下、地下の世界に住んでいる。


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