真夜中の訪問者
「分かった。私が向こうで寝るよ」
出て行こうとする私の手首を掴み引き止める。
『待てよ。一緒に寝るぞ』
「は?なに言ってんの?」
『そのためにコッチに来たんだし。姉弟なんだからいいだろ』
姉弟。その言葉にまた傷つく私。
大和にはそれ以上の感情なんてないのに、それ以上を期待している私がいる。
お互いに背を向け寝転んだ。しかし心臓が激しく脈打つのが大和に聞こえてしまいそう。
寝ようと思えば思うほど目が冴えてきて、今日寝るのは諦めようと思った時。
『なぁ、もう寝た?』
急にかけられた声にビクッと体が震えた。
『なにビクついてんだよ』
「べ、別に。急に声出すからでしょ」
『襲われるとか、思ってんだろ』
「そんな訳ないじゃん。弟なんだから」