先生に恋をして
 階段を下りて下りて下りて・・・
 
 下に行くに連れて涙が溢れ出してきた。こんな顔誰かに見られたら・・・
 そう思って常に下を向いていた。

 ドンッ!

 「うわっ」

 誰かとぶつかった。それでも私は顔を上げられなかったら、もしもその人が先生だったら・・・。

 「すいません・・・」

 そう言ってその場から逃げようとした。

 「千夏?」

 名前を呼ばれて振り返るとそこには川村先生がいた。

 「あ、どうも」

「どうもって・・・何で泣いてるの?」

「いや、何でもないです。」

「何でもあるから泣いてるんでしょ。」

「本当、大丈夫なんで。」

 今度こそその場から逃げようとした。

 「待って。」

 腕を掴まれた。

 「恋愛でしょ?」

「な。」

「佐々木先生か」

「関係ないじゃないですか。」

「まあ、ね」
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