<短編>隣の席の不良くん
「……なぁ、前から思ってたんだけどよぉ…」
ゆっくりとした口調で黒木くんが話す。
何なのその意味深な話し方は。
前から思ってたことって何よ?
私がどうかした?
バカだって?ブスだって?くさい?きもい?
「相沢って、俺のこと勘違いしてねーか?」
…は?勘違い?
「ど、どういうこと?」
私はうつむいたまま答える。
次に何を言われるのかと思うと、どうしてもどもってしまう。
怖いからもうこれ以上話しかけないでほしい。
「なんか、ビビってるっつーか…見かけだけで俺のこと怖いとか思ってんじゃね?」
「そ、んなことない、よ」
「だったらちゃんと俺の目ぇ見て話せよ。失礼だろ」
失礼だろ…って何よ、いきなり。
その発言の方が私に対して失礼じゃない?
怖いけど、正直いまのはカチンときた。
「人を見かけで判断するなって言うだろ?」
「見かけしか判断材料がないんだから、それで判断するしかないじゃない!」