君の笑顔が好きでした。
授業中ずっと気になっていた。
まーくんが何を言おうとしていたのか。
授業にも集中出来ずに横目でチラチラ見ることしかできなかった。


「神山!!」


名前を呼ばれてうちは現実に意識が引き戻された。
只今は授業中、先生が呆れた様子でこちらを見ていた。


「授業中に浮かれているとはいい度胸だな。」


「すいません…。」


別に浮かれてなんかいないのになぜか謝る自分が情けない。
ここで堂々と否定できればかっこいいのに…。
うちが悪いのか?嫌、全てはまーくんに原因がある。
などと自問自答していたら、先生が、


「神山、浮かれていた罰として今日教室の掃除して帰れ。」


「あぁ、はい…。」


なんてことだ。
今日に限って…今日は病院に行くのに…。
天から地へと突き落とされたようにうちはがっくりとうなだれた。


気づけば放課後になっていた。
空は赤く染まり綺麗な夕焼けが見えた。
だがうちの心は黒く沈んでいた。
掃除の準備をし始めようかとか迷いながら席を立ったとき廊下で誰かの笑い声が聞こえてきた。
放課後に笑い合っている暇野郎は誰なのか顔を見てやろうと思って少し廊下を見てみた。
そこにはまーくんと菜槻ちゃんが笑いながら話していた。
その光景を見てると胸が痛む。

菜槻ちゃんの隣で笑っている、まーくん。

もううちにその笑顔は見せてくれないのかな…。
もう隣で笑い合うこともないのかな。

と思うと心が裂けそうな痛みに襲われた。


「なんだろ…この痛み?」


味わったことのないこの痛み。
誰かに聞きたい。
この痛みの理由を。


そしてもう一度だけまーくんの隣で笑い合いたい。


そんなワガママ無理だよね…。
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