君の笑顔が好きでした。
俺はがむしゃらに走り回った。
適当に案内なんかするんじゃなかったと今更になって思う。


「やっぱり俺って何やっても駄目だなぁ…。」


勝手に呟いていた。

しばらく歩いていると何かが弾くような音がした。
それは体育館から聞こえてきた。

俺はもしかして、と思って急いで体育館に向かった。
体育館の中では誰かがバスケをしているようだった。

誰か気になったので俺は少し覗いて見た。


「か、神山!?」


俺は目を疑った。
なぜ体育館で神山がバスケをしているのか。
素人にしては動きが良すぎる。

まさかとは思ったが神山はもしかしてバスケをしていたんではないだろうか?

俺は神山がバスケをする姿に見入ってしまっていた。

ずっと見ていたら視線を感じたんだろうか、神山がこっちに気づいた。


「椎名くん?」


俺は急いで隠れたが意味がなかったようなので神山の所へ行った。


「どうしたの?」


「い、いやお前が授業に来てなかったから探しに来ただけなんだけど…。」


「心配してくれたの?」


「心配なんかしてねぇよ!…ただ、俺がちゃんと案内してなかったから迷子になっているんじゃないかなぁって思って。」


なんか…探しに来てやったのに…無駄なお節介だったようだ。

俺はその場に座り込んだ。
走り回って一気に疲れが出てきた。


「大丈夫?」


俺は「大丈夫。」と言って手を振った。
その時神山が手を差し伸べながら、


「心配してくれてありがとう!嬉しいよ。」


神山は満面の笑みでこっちを見ていた。
俺はその言葉に心臓が反応した。
訳も分からず心臓がバクバク言って顔が熱い。

なんだこの気持ちは…?

訳もわからないまま神山の手を取った。

まだ心臓がバクバク言ってなかなか止まらない。

不意に神山が話しかけてきた。


「ねぇ、椎名くんってバスケしているんでしょ?ちょっと相手してよ(笑」


神山は笑いながらボールを渡してきた。


「私が負けるなんて思ってないから、本気でかかってきていいよ?」


俺はその言葉に俺の中のプライドに火がついた。


「俺が女ごときに負ける訳ねぇじゃん。なめんなよ!」


現在、授業中に俺と神山のバスケ勝負が始まった。


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