パツ子と甘えん坊くん。
「はぁー!楽しい!楽しいね、真琴!」
休憩スペースのベンチに座り、真琴に話しかける。
真琴も笑顔で答えてる。
真琴も楽しんでくれてる。
2人でずっと行きたかった、遊園地。
あたしにはとても楽しくて時が止まればいいのに、なんて事を思ってしまう。
「あ、小夏。あそこでソフト売ってるよ?買ってくるね」
真琴が笑顔でソフトクリーム屋を指差した。
あたしは「う、うん!」と言って真琴を見送った。
その真琴の背中を見て、ふと思い出す。
今日は真琴の誕生日のデートで遊園地に来たのに、何だかあたしばっか楽しんでる気がする。
ううん、違う。
あたしが勝手に真琴を引っ張って楽しんでるんだ。
あたしが行きたいってアピールしたばっかりに、真琴はあたしに合わせて遊園地にしてくれた。
あたしが話しかけたら笑顔で頷いてくれる。
優しすぎる、真琴は。
真琴はほんとに心の底から楽しんでる?
楽しいって思ってるのはあたしだけかな?
そんな風に考えてると、真琴がソフトクリームを二つ持って帰ってきた。