パツ子と甘えん坊くん。



「…すごく似合ってるよ、小夏」



似合いすぎる。
自分で前髪作ればって言ったけど、まさかパッツンにするなんて。



しかも隙間一つないパッツン。



すると小夏は俺に近付いて来た。



「…ほんとに?ほんとに似合ってる?」



出来た前髪を手で梳きながら、上目で聞いてくる。



うん、と頷く。



俺の反応を見た小夏は途端に笑顔になった。



「…ほ、ほんと…?よ、良かった…」



笑顔でホッとしてる。



鼻先が赤い。
どれだけ俺のこと待ってたの?



月曜にまた会うんだから、その時見せればよかったのに。



早く見せたくてわざわざ俺を待ってたの?



小夏が何を考えてるのか、考えるほど俺の胸はギュッと締め付けられる。


< 227 / 236 >

この作品をシェア

pagetop