*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「…………そうだな。


頼んだよ」







灯は諦めたように笑い、とうとう歩き出した。




その後に、四つ子がぞろぞろと続く。







「…………あぁ、でも、俺は馬がないぞ」







灯がふと気づいたように足を止めた。







「この邸に入ったときに、近くの木に結びつけておいたが………。

あの馬は、もう誰かが連れていってしまっただろうし」







すると、少し離れて歩いていた藤波が口を開く。







「俺たちが乗ってきた馬がある」







卯花も同意する。







「そうよ。楪葉の馬に一緒に乗ればいいわ」






「えっ! やった!!」







卯花の提案に、楪葉は嬉しそうに飛び跳ねた。







「そうだな………」







灯はそう呟き、再び歩き出した。







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