*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
藤波はしばらくの間、見とれたように汀を見下ろしていたが、はっと我に返った。
「…………灯。
そろそろ行かなきゃ」
藤波に声をかけられ、灯は視線を戻した。
「………あぁ」
「卯花たちが稼げる時間も限られてるよ」
「…………そうだな」
呟いた灯は、もう一度、汀を一瞥した。
築地の上と下で、二人は見つめ合う。
(………ふぅん、そういうこと)
藤波は内心でそう得心してから、くいと灯の手を引いた。
灯と藤波は、無言のまま飛び降り、築地の向こう側へと姿を消した。
「…………灯。
そろそろ行かなきゃ」
藤波に声をかけられ、灯は視線を戻した。
「………あぁ」
「卯花たちが稼げる時間も限られてるよ」
「…………そうだな」
呟いた灯は、もう一度、汀を一瞥した。
築地の上と下で、二人は見つめ合う。
(………ふぅん、そういうこと)
藤波は内心でそう得心してから、くいと灯の手を引いた。
灯と藤波は、無言のまま飛び降り、築地の向こう側へと姿を消した。