*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「………ひ、ひめさま………っ!


ど、どうか、そればかりは、お許しを………っ!!」





露草は涙目になって、額が床につきそうなほどに深々と頭を下げる。



それを見て、今度は汀のほうが慌ててしまった。





「まぁっ、露草!!


やめてちょうだい!!


頭なんて下げる必要ないわ!!」





「………しかし、主君のお言いつけを守れないなどとは………。


女房として失格にございます………」





「あらっ、悪いのは私よ!!」






汀は露草の側近くに寄って、その肩を抱いて頭を上げさせた。






「私ったら、一人で食べるのが寂しくって………。


思わず、露草が一緒に食べてくれたら楽しいかな、って考えちゃったの。



そういえば、都の貴族たちは人と食べたりしないってこと、忘れてたわ。


ごめんなさいね………」







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