*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
心から申し訳なさそうに汀が言うので、露草は恐縮のしきりだった。





「………わたくしこそ。


姫様のご要望に添えず、………どうかお許しくださいませ!」





そういうわけで、結局、汀は一人で食事をするしかなかった。





(………あーあ。


つまんないなぁ………)





ぼんやりと格子の向こうを眺めている汀に、露草が控えめに声をかける。




「………あの、姫さま」



「………なぁに? 露草」



「あの、ご気分が晴れませんようでございますので、ひとつ提案がございます」



「あらっ、なぁに?」




汀は興味を引かれたように眉を上げ、露草をじっと見つめる。





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