*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
「今日はよく晴れて、月が美しゅうございますわ。
釣殿へいらっしゃって、お月見をなされたら如何でございましょうか」
露草の言葉に、汀は驚いたように目を見開いた。
汀が姫君らしくもなく出歩くことを、普段あまり快く思っていないはずの露草が、自らそれを勧めてきたのだ。
「………まぁ。
どうしちゃったの、露草」
汀は心中の思いをそのまま口に出した。
「………いえ。
姫さまは月がお好きでいらっしゃいますので………。
お月見をなされば、いくぶんお気持ちも変わられるのではないかと………」
「まぁ…………露草」
汀は手を組んで、きらきらとした瞳で露草を見つめた。
釣殿へいらっしゃって、お月見をなされたら如何でございましょうか」
露草の言葉に、汀は驚いたように目を見開いた。
汀が姫君らしくもなく出歩くことを、普段あまり快く思っていないはずの露草が、自らそれを勧めてきたのだ。
「………まぁ。
どうしちゃったの、露草」
汀は心中の思いをそのまま口に出した。
「………いえ。
姫さまは月がお好きでいらっしゃいますので………。
お月見をなされば、いくぶんお気持ちも変わられるのではないかと………」
「まぁ…………露草」
汀は手を組んで、きらきらとした瞳で露草を見つめた。