*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
(………なんて優しいの、露草ったら。


私が月を好きなこと、気づいてくれてたのね。



そして、私の元気がないと思って心配して、そんな提案をしてくれたのだわ。


いつもだったら、決して許されないことなのに、特別にーーー)





汀は涙を流さんばかりに感動している。




露草は微笑んで続けた。




「わたくし、お菓子とお酒を用意して参りますわ。


美しい月をご覧になりながら、ごゆっくりなされませ」





「………ありがとうっ、露草!!」.





汀が感情を抑えきれず、露草に抱きつく。




露草は目を白黒させつつ、なんとか汀の抱擁から逃れて台盤所へと向かった。






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