*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語









「ーーーわぁっ、灯だ!!」






頭上に生い繁る樹々の葉をさわさわと揺らすほどの、明るい声が響き渡る。








灯は藤波たちに連れられて、久々の白縫山に足を踏み入れた。




仲間が集まって住む村へと近づいた途端。






「灯が帰って来た!!」





「ほんとかよっ!?」






周りを子どもたちが取り囲んだ。






彼らの面倒を見ていた女たちも、それにつられたように近づいてくる。






「まぁ、ほんと、灯じゃないの!


いったい今までどこをほっつき歩いてたの?」





「そうよ!


あんまり音沙汰ないもんだから、とうとう死んだか、ってみんな言ってたのよ」







女子供たちに囲まれて、灯は困ったように足を止めた。






「………そんな簡単に死にゃしないよ」






灯が眉を上げて苦笑を洩らすと、女たちはきゃあきゃあと騒いだ。





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