*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
しんみりと酒を酌み交わす二人を、四つ子たちは面白そうに眺めている。




そこに、洞窟の外から女性の声が聞こえてきた。






「おーい!!


藤波、卯花、糸萩、楪葉ー!?


どこにいるのー!?」






その声に、四つ子たちは顔を輝かせる。






「あっ、檀弓の声だ!」



「檀弓だ!!」



「ここだよー! 群雲の洞窟の中!」






しかし、慌てたのは群雲である。



ほろ酔いで赤らんでいた顔を即座に蒼ざめさせ、酒を一気に飲み干すと、わたわたと碗を懐に隠した。





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