*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
警戒したように耳を立てて周囲を見回している朽葉丸のまわりで、小さな子犬たちがころころと走りまわってじゃれていた。
その様子を、灯と小桃は少し離れたところから微笑ましく見守る。
「………かわいいなぁ、子犬たち。触りたいなぁ」
「まぁ、触らせてもらえるのは、もっと先だろうな」
灯はふと、一匹だけ特に小さい子犬がいるのに気がついた。
じゃれあっている兄弟たちを、ただ一匹、離れたところでじっと見ている。
「………あの子犬は?」
「え?」
「あの、いちばん小さいやつ」
「あぁ、あの子ね」
小桃は頷いて話しはじめた。
「あの子ったら、なかなか兄弟に馴染めないみたいで、いっつもひとりなの」
「………ほう」
「えさを食べるときも仲間に入れなくて、なかなか食べられないの」
「だから小さいんだな」
「かわいそうだけど、近づこうとすると朽葉丸が怒るし」
「そうだなぁ………」
するとその子犬は、ぴんと耳を立てて鼻を動かしながら、灯たちのほうを見た。
その様子を、灯と小桃は少し離れたところから微笑ましく見守る。
「………かわいいなぁ、子犬たち。触りたいなぁ」
「まぁ、触らせてもらえるのは、もっと先だろうな」
灯はふと、一匹だけ特に小さい子犬がいるのに気がついた。
じゃれあっている兄弟たちを、ただ一匹、離れたところでじっと見ている。
「………あの子犬は?」
「え?」
「あの、いちばん小さいやつ」
「あぁ、あの子ね」
小桃は頷いて話しはじめた。
「あの子ったら、なかなか兄弟に馴染めないみたいで、いっつもひとりなの」
「………ほう」
「えさを食べるときも仲間に入れなくて、なかなか食べられないの」
「だから小さいんだな」
「かわいそうだけど、近づこうとすると朽葉丸が怒るし」
「そうだなぁ………」
するとその子犬は、ぴんと耳を立てて鼻を動かしながら、灯たちのほうを見た。