*華月譚*月ノ章 姫君と盗賊の恋物語
その言葉に、露草は大仰に目を瞠る。





「まぁっ、姫さま!


そのようなことを………!



姫さまは、本当に素晴らしい姫君ですわ!



お心根はお美しく、見目麗しく、奥ゆかしく雅やかでいらして………。


それに箏の琴もお上手で、ご筆跡は、かの高名な能筆家、花園の女御にも劣りません。



姫さまは、どのような高貴の御方にお輿入れなさっても、気後れなさる必要など、全くございませんわ!!」







熱のこもった露草の言葉に、汀は思わず苦笑してしまう。






「まぁ、露草。


そんなに褒められたら、私、天狗になってしまいそうよ」





「けっこうでございます!!」






露草は汀に詰め寄るように言った。







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